ポストモダンと散歩中

長くなりがち。

フレネミー(Frenemy)がいる。

私にはフレネミー(Frenemy)がいる。

 

フレネミーとはFriendとEnemyを掛け合わせた言葉で、友達の皮をかぶった敵のことを指す。「友達」も「敵」もいろんな関係があるので、一概にフレネミーとの関係を定義するのは難しいけれど、例えば以下の記事のような関係をフレネミーと言うらしい。

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数年前、「この子は私に複雑な感情を持っているのだな」と気付いてから、彼女と付き合うのが苦しくなった。

 

彼女が私と最初に仲良くなったきっかけは、学校のオリエンテーションだった。偶然、隣に座ったのだったと思う。入学までの経歴の話などをして、共通項を見つけ、話が盛り上がった。学校の中でも何かと一緒になることがあり、なんだか学校の雰囲気に馴染めないと感じていた私たちは、急速に打ち解けた。

 

私は積極的に友人を作る方ではない。親しくなるのは、いつもの行動範囲の中にいる人だ。「この人が好き」だから友達になるのではなく、近くにいたので結果として親しくなるパターンが多い。彼女は、私の行動範囲からは離れていたけれど、積極的に親しくしてくれた。距離感の近さに戸惑ったこともあったけれど、好意を前面に押し出して接してくれたのはとても嬉しくて、彼女はすぐ、私の最も親しい友人となった。私たちは最も個人的な秘密や悩みをお互いに打ち明けた。何時間でも話していられた。

 

彼女は私に新しい世界を見せてくれた。私が自分では行かないような場所、外国人の集まるパブやクラブに連れて行ってくれた。初めてする夜遊びで、私は大人になったように感じた。中心客層が中年男性の下町の飲み屋にも平気で入っていく彼女を、格好いいと思った。彼女の学校外の友達の集まりにも呼ばれ、大切な友人として紹介されるのは気分が良かった。彼女の世界は新鮮だった。

 

その新鮮さが去ってから、いろんなことが目に入り出した。彼女の箸の使い方の拙さや食事のマナーが気になった。彼女が荒い言葉遣いをする度にびくりとした。最初は物珍しく楽しいと思っていた夜遊びも、神経を消耗してしまい、合わないことを学んだ。カラオケでパック料金をしつこく値切り、店員を困らせる彼女と一緒にいることが恥ずかしいと思った。彼女の友達とは、話が合わないと思った。自分の評価が落ちるのが嫌で、私の友人に彼女を紹介しなかった。

 

私は感じたことを折りに触れ彼女に伝えた。言い方には気をつけたつもりだけれど、彼女の側からみると、私は神経質で口うるさく保守的だったと思う。こうなってからも、彼女と私は仲良しだった。むしろ以前にも増して何でも言い合える相手となった。

 

彼女が私に相反する感情を持っているのではないかと気付いたのは、大分時間が経ってからのことだった。彼女が私を大げさにほめる時、居心地の悪さを感じた。ほめる中にも、こっそり嫌なことを混ぜるのはおそらくわざとだった。彼女はしばしば、育った環境のコンプレックスを語った。私はそれを受け止め、理解している気でいた。ある時、なにかのはずみで「あなたは所詮いい家の子だ」と言われた時、自分がすごいショックをうけたのを覚えている。私と彼女は異なる社会階層の出身で、彼女はそれを強烈に意識していたのに、私は気付いていなかった。

 

それから、鈍感で傲慢だった自分を反省し、彼女といる時、自分の思考を過剰に精査するようになった。いつのまにか、関係がぎくしゃくするようになっていた。彼女が就職してから、「学生には分からないかもしれないけれど」と仕事の苦労を語るのが不快だった。彼女が前置きなく相談を持ちかけてくるのが嫌になった。私が上手くいっていない時、嬉々として根掘り葉掘り聞こうとしてくる彼女に、自分の情報をできるだけ与えないようにしていることに気付いた時、もうダメだなと思った。

 

今も彼女とはつながっている。気に入らない人を激しくこき下ろす彼女を見てきたので、関係を絶ったら他の人に悪口を言われるのではないかという恐怖がある。SNSでは、私をブロックしているのに、何か聞きたいことがあったり私の生活の変化を知りたいときだけ連絡してくる。彼女は友人か友人でないかというと、友人だ。ただの知人というには関係が深すぎる。でも、私の成功を手放しで喜んでくれるわけでもない。私の方も、彼女の不幸を喜ぶわけではないが、彼女の成功に特に心は動かされない。

 

 けれど、私は彼女との関係において被害者ではない。二者間の関係は、双方向の働きかけによって構成されるものであって、現在の関係を作り上げたのは、私にも当然責任がある。今後関係が改善するかは、今の時点では分からない。私たちが成熟して、お互いを受け入れられるようになるかもしれないし、ならないかもしれない。ただ、今は彼女と距離をおきたいと思う。

 

 

フレネミーと賢くつき合う33の法則

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