ポストモダンと散歩中

長くなりがち。

「少し距離をおいて付き合うのがベスト」な人

昨夜は友人を家に招いて食事とサングリアを楽しんだ、はずだった。

 

 

一週間ほど前から、友人Sと約束して、会うのを楽しみにしていた。Sは礼儀正しく、知的な会話を楽しむタイプで、彼とは親しく付き合っている。私は彼と別の友人Jは、気が合うのではないかと常々思っていたので、この機会にお互いに会わせようと、Jにも声をかけた。JのルームメイトYは共通の友人なので、Jだけ誘うのも感じが悪い気がして、Yにも声をかけた。Yは「たくさんやることがあるから行けないかも」と言っていたので、今回は来ないものだとして準備をしていた。

 

当日になって、結局YはJと一緒にやってきた。「準備してたんだから、来るんだったら来るって連絡して欲しかった」と二人に文句を言うと、Jが家を出る10分前くらいに急に来る気になったのだと説明された。「ご飯は食べてきたから私の分はいらない」とYが言うので、もやもやした気分を抱えながら食事を給仕した。

会話は弾んで、私たちは、数時間前から仕込んでいたワインボトル二本分のサングリアをほとんど空けてしまった。Yは時々、私とJには分かるけれど、Sには分からない話題を始めてしまうので、その度Jと私がSに話の背景を説明しなくてはいけなかった。お互いの近況を話し合う中で、Yは、最近あまりうまくいっていないことを何度かほのめかしだした。

Yにはその場が適当か適当でないかに関わらず、自分の内面をぶちまけ、しかも一度話始めるとずっとその話を続ける傾向がある。彼女が昨夜Jと現れた時、Sの前でそれをやるんじゃないかと少し心配していた。はたして、その心配は現実になった。

あまりにも話したそうなので、「何がそんなに気にかかっているの?」と、とうとう私は尋ねたけれど、結論から言うとこれが間違いだった。Jは私に目配せして、私の失敗を無言で訴えた。YのルームメイトであるJは同じ話をずっと聞かされていてもううんざりだったのだけれど、紳士的な彼はもちろんそんな様子はYに悟らせない。

Yは語り出した。私の大嫌いな、自分がいかにかわいそうで、辛く、悩んでいるかといった様子をにじませながら。話題はこの夏付き合っていた、現在留学中で離れている元彼が、自分をキープにしておきたいというような内容だったのだけれど、私とJはこれまで耳がたこになるほど聞かされているし、同じことを何度も言い続けていてうんざりしている話題だった。最近の進展として、Yはその元彼が「もう僕のこときらいになったの」などと言ってくるので自分の気持ちがわからなくなって、元彼の兄に相談したのだという。ちょっと意味が分からない。

適当なところで話を切り上げてもらいたかったのだけれど、何を言っても「でも」で返されて、その集まりの後半ずっと、話題は彼女のことのみだった。気付いたらもうお開きの時間になっていた。最後の方は話の進展のなさと彼女の自己陶酔と正当化にうんざりして、酒が入っていたのもあり、言葉がきつくなってしまった。

 

3人の客を帰した後、情けなくて悲しくて落ち込んだ。せっかく久しぶりに会う友人と楽しい時間を過ごそうと楽しみにしていたのにうまくいかなかったこと、感情がコントロールできずYにきつい言葉をかけてしまったこと、そのことでSとJの二人に気まずい思いをさせてしまったこと。

一夜明けて、昨夜のことについてよく考えてみると、私自身もかなり傷ついていることが分かった。Yは、私が時間と手間をかけて友人と楽しく過ごすために準備した場で、たった数時間自分の内面をぶちまけることを我慢できなかったのだ。初対面のSの前で非常に個人的な話題を持ち出して、しかもそれを利用して場を独占した。聞き手の負担は一切考えず、自分の聞いて欲しい気持ちを優先した彼女と、友人として親しく付き合っていきたいと思えなかった。彼女に悩んでいたり、辛いことがあるのは共感できる。けれど、自分と他人の境界線がきちんと引けていない部分には自分本位で依存心の強いところを感じる。

昨夜、私は「今の彼との関係を作り上げた一端は自分にあるのだから、自分だけが被害者みたいな言い方はおかしいよ」と彼女に伝えた。そして、はっとした。現在の私と彼女の関係、つまり彼女が私に一方的に延々自分の話をするという関係、を許しているのは、なんだかんだ言って突き放さず話を聞き続ける私自身だ。彼女と付き合うことは、私が自分自身を大事にしないことだと思った。

 

考えた後、時間をかけて自分の気持ちを綴って、彼女に「おたがい、少し距離をおいて付き合うのがベストだと思う」というメッセージを送った。

 

メッセージを送った後、Jから連絡があった。YはJのところにメッセージの内容について「相談」しにいったらしい。予想通り過ぎて、呆れるをとおりこして可笑しくなってしまった。依存心を指摘された時、その指摘を自分の中で咀嚼することなく、他人の意見を聞きに行くというのは皮肉以外の何者でもない。たぶん、相談依存症みたいになっているのだと思う。

 

友達は大切にしなければならない。ただし、相手が自分を大切にしてくれる限り。私は今後は友人は選ぼうと思った。たった数人の、気持ちよく過ごせる友人がいればいい。

 

 

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